【1分で読めるお金講座】vol.80 生命保険業界の最近の動向を知っておこう
ファイナンシャル・カウンセリング・ルームを運営しているFPとさかです。
いわゆる人生の3大費用と呼ばれる「子供の教育費」「住宅ローンの返済」「老後の生活費」に不安を感じている方向けに、"1分で読めるお金講座"というお役立ちマネー情報を提供いたします。
本日は、「生命保険業界の最近の動向を知っておこう」というテーマです。
ここ数年、生命保険市場は縮小しているイメージがあるかもしれませんが、実際はそうでもなく、右肩上がりで伸びています。
生命保険の商品は、定期保険や医療保険、介護保険といった保障目的の商品と、終身保険や年金保険など貯蓄性の高い商品に分けられます。
そのうち、生命保険の売上に相当する保有契約年換算保険料(その年に入ってくる保険料で、一時払いされた保険料については年換算へ修正)の増加に貢献しているのは、貯蓄性の高い保険となっています。
2008年のリーマンショック以前は、運用成果に応じて受取額が変動する変額保険が人気を集めましたが、リーマンショック以降は株価低迷で最低保証が難しくなり、注力先を定額の終身保険へシフトしました。
しかし、マイナス金利政策でその運用も厳しくなり、健康増進型保険、認知症保険など保障に重点を置いた商品を多様化しつつ、貯蓄性ニーズに応えた外貨建て保険を提供し、過去1〜2年は経営者向けの保険が好調でした。
しかし、経営者向けの保険は、保険料を全額損金に算入できる商品が節税効果で注目を集めましたが、2019年に課税方法が見直されてしまいました。
外貨建て保険についても、仕組みや為替リスクに対し、十分な理解を得ないまま販売したなどの問題が浮上しています。
マイナス金利のダメージが相当大きく、見かけ上の数字よりも経営内容や環境はより厳しくなってきているものと思われます。
さらに、この先の10年〜20年は、保障が必要な中核層の人口が減り、人口構成の変化は顕著になります。
シニア層も人生100年時代には自身の老後資金を確保するのに大変で、子供世代にお金を遺すために保険を利用するという余裕がある人は限られてくるでしょう。
まとめ
ここ数年、生命保険市場は右肩上がりで伸びている。
そのうち、貢献度の高い商品が貯蓄性の高い保険(終身保険や年金保険など)だったが、最近は外貨建て保険や経営者向けの保険が盛り上がっていた。
しかし、世論や法改正により、下火となりつつある中、生命保険業界の経営環境はますます厳しくなってきている。
加えて、保障が必要な中核層の人口が減り、シニア層も人生100年時代には自身の老後資金を確保するのに大変なので、ますます経営環境が厳しくなることが予測される。
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