「NISA制度は富裕層優遇だ」という政治家の思惑とは
政府、与党は16日、期限付きで導入された少額投資非課税制度(NISA)について、恒久化を見送る方針を固めた。
恒久化は金融庁や証券業界が求めていたが、現行制度は富裕層への優遇だとの指摘もあり、認めるのは難しいと判断した。
SankeiBiz(http://www.sankeibiz.jp/macro/news/191017/mca1910170500001-n1.htm)より
「現行制度が富裕層への優遇だ」という指摘は何の根拠があっての意見なのでしょうか?
ただ発言力が強いだけの政治家が、「節税するのはいつも富裕層」という固定観念を主張しているだけだったり、もしくは「税金をより多く徴収したい」という本音を隠すために、さももっともな理由を言っているだけだったとしたら、どうしましょうか?
NISA恒久化の議論は事実情報をもとにすべき
国民は、政治家がどこまで事実情報をもとに議論をしているのかがわかりませんよね。
NHKで垂れ流しにされている答弁番組は、くだらないやり取りが多く、時間の無駄で見る気になれません。
検討の進め方や参考にした事実情報がブラックボックスになっています。
事実としてNISAを使っている人の資産額を調査したのでしょうか?
「節税をするのはきっと富裕層に違いない」という固定観念が、非課税制度NISAは富裕層優遇だ、という考え方を生んでいる気がします。
— FPとさか (@FPtosaka) October 17, 2019
事実としてNISAを使っている人の資産額を調べて欲しいですね。https://t.co/xQHChj2Oi1
確かに富裕層ほどNISA口座を活用している調査はある
調べてみたところ、QUICK資産運用研究所がNISA口座を使用している方の収入や資産額を調査していました。(2017年1月時点)
調査結果では、「富裕層ほどNISA口座を活用している」と言えるものだと思われます。
収入が多い人や金融資産をたくさん持っている人ほど、NISA口座を活用しているようだ。年収別では200万円未満で「開設している」が15.9%だったのに対し、1,000万円以上では38.2%だった。
金融資産保有額で分けて比較しても、100万円未満が9.0%にとどまる一方、「5,000万円~1億円未満」では5割を超えた。
QUICK資産運用研究所(https://moneyworld.jp/news/03_00012290_news)より
つみたてNISA利用層は富裕層ではなく資産形成層
QUICK資産運用研究所の最新の調査では、一般NISAを利用しているのが富裕層であるのに対して、つみたてNISAを利用しているのは富裕層ではなく、資産形成層であることを示唆しています。
資産形成層への優遇は、NISA口座の目的にも合致していますよね。
年代別に見ると、「一般NISA」は60代以上のシニア世代で開設している割合が高い。一方、「つみたてNISA」は20~40代の資産形成層が相対的に高かった。
QUICK資産運用研究所
NISA恒久化の見送りは半分正解で半分過ち
以上のことを踏まえると、NISA口座は確かに富裕層への優遇制度として期間限定としていいが、つみたてNISA口座については資産形成層への優遇制度なので、恒久化を見送るのはおかしいです。
個人投資家が声を上げていくべきなのでは、と思います。
関連記事です。
NISA口座を開設する場合は、配当金の受け取り方法に注意してください。
設定を誤ると、めんどくさい手続きが必要になります。
やはりあらためてつみたてNISAの恒久化見送りは検討していただきたいですね。
50歳からインデックス投資信託をつみたてNISAで積立投資する方もいます。