20代で解いておきたい!金融リテラシーを測定する5つの問題「ビッグ5」
金融リテラシーとは、金融に関する知識や情報を正しく理解し、自らが主体的に判断することのできる能力だといえます。
社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送っていく上で欠かせない生活スキルなのです。
エコノミスト 野尻哲史
人生を主体的に生きるために金融リテラシーは必須なスキルですね。読み書きや四則演算とおなじくらい、学校で学ぶべき知識といえるでしょう。
金融リテラシーを測定する5つの問題「ビッグ5」
自分がどのくらいの金融リテラシーを持っているのかを知りたい方は、読み進めてくださいね。
たった5つの問題に答えるだけで、自分の金融リテラシーを測定することができます。
「ビッグ5」を解いてみよう!
あとで答え合わせをするので、紙に答えをかいてくださいね。
問題① 複利計算
あなたが銀行に100ドル預けていて、利息は年に2%だとします。預金を引き出さない場合、5年後にはいくらになっていますか?
問題② 利息と物価上昇
預金の利息が年に1%で、インフレ率が年に2%だとします。1年後、あなたがその口座のお金で買えるものは増えますか、変わりませんか、減りますか?
問題③ リスク分散
「一つの企業の株式を購入することは、投資信託を購入するより一般的に安全性が高い」
この主張は正しいですか、間違っていますか?
問題④ 住宅ローンの利息
「15年物の住宅ローンはたいてい、30年物の住宅ローンに比べて月々の返済額は多いが、返済する利息の総額は少なくて済む」
この主張は正しいですか、間違っていますか?
問題⑤ 債券価格と金利
金利が上昇したとき、債券の価格は上がりますか、変わりませんか、下がりますか?
答え合わせ
お疲れさまでした。
ここからは答え合わせです。赤ペンをご用意ください。
問題① 複利計算
解答
約110ドル
解説
1年目は、100ドルに2%の利息分2ドルを加えて、102ドル。
2年目は、102ドルに2%の利息分2.04ドルを加えて、104.04ドル。
3年目、4年目、5年目も同じ計算をします。
つまり、100ドル×1.02×1.02×1.02×1.02×1.02=約110ドルとなります。
豆知識
利息には、単利と複利があります。
単利の場合、1年目も2年目も元金100ドルの2%の利息分2ドルしか増えません。
一方、複利の場合、1年目は元金100ドルの2%の利息分2ドルが増え、2年目には元金に1年目の利息分を加えた102ドルの2%の利息分2.04ドルが増えます。
このように、複利は単利に比べて、利息が増えやすい特徴を持っています。
問題② 利息と物価上昇
解答
減る
解説
利息1%の預金に100万円を入れておくと、1年後は利息分1万円が加わり、101万円になります。
一方、インフレ率2%の社会で100万円の商品は、1年後には102万円になります。
口座のお金は101万円なので、102万円の商品を買うことができなくなります。
豆知識
インフレ率が預金の利息よりも高い社会では、預金だけをしていると買えるものがどんどん少なくなりますね。
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問題③ リスク分散
解答
間違い
解説
投資信託は、複数の企業の株式や債券を組み合わせた金融商品です。
そのため、ある一つの企業の株価が大きく下落しても、全体的にはそんなに大きな影響を与えません。
一方、一つの企業の株式のみを持っていると、その株価が大きく下落した場合、その影響を直接受けます。
豆知識
投資信託の方が一つの企業の株式を持つことよりも安全性が高いのは事実です。
しかし、上昇する銘柄を見極めることができれば、安全性の高い株式投資を行うことができます。
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問題④ 住宅ローンの利息
解答
正しい
解説
月々の返済額は、借入期間年数が短いほど、多くなります。
また、住宅ローンのだいたいの利息の総額は、元金額×年率×借入期間年数で算出できます。
※アドオン方式という計算方法であり、実際は異なります
よって、利息の総額は、借入期間年数の短い15年物の方が30年物よりも少なくて済みます。
豆知識
住宅ローンの利息は、複利計算です。
例えば、3000万円を年利3%で毎月10万円ずつ返済するとします。
1ヶ月目は、「元金3000万円×3%÷12ヶ月=7.5万円」の利息がかかります。
「毎月の返済額10万円-利息7.5万円=2.5万円」が元金返済分になります。
2ヶ月目は、「元金3000万円-1ヶ月目の元金返済分2.5万円=2997.5万円」が元金残高です。
「元金残高2997.5万円×3%÷12ヶ月=74,937円」の利息がかかります。
よって、「毎月の返済額10万円-利息74,937円=25,063円」が元金返済分になります。
問題⑤ 債券価格と金利
解答
下がる
解説
金利が上昇した場合、預金した方が得をするため、債券を持っている人が一斉に売り始めます。
みんなが一斉に売り始めるので、価格を下げなければ買ってもらうことができません。
結果的に、債券の価格は下がることになります。
豆知識
債券の価格は、需要と供給の関係によって変化します。
金利が下降した場合、預金した方が損になるため、債券を持っていない人が一斉に買い始めます。
みんなが一斉に買い始めるので、価格を上げてもどんどん売れていきます。
結果的に、債券の価格は上がることになります。
正答率と金融リテラシーの関係性
さて、答え合わせはいかがだったでしょうか?
正解した数とご自身の金融リテラシーを照らし合わせてみてください。
4〜5問正解した方
申し分のない金融リテラシーを持っています。
老後の資産形成に困ることはなさそうですね。
2〜3問正解した方
まずまずの金融リテラシーを持っていますが、不十分な可能性があります。
お金について、より深く勉強することをおすすめします。
正解数が1問以下の方
残念ながら、金融リテラシーを身につけていないため、気付かないうちに損をしている可能性があります。
また、将来的に老後の資産形成で困ることが高い確率で起こると想定されます。
金融リテラシーを身につけよう!
とはいえ、金融リテラシーが高いと言われている投資大国アメリカでさえ、全問正解できる人は15%ほどしかいません。
今から勉強しても金融リテラシーを人並み以上に身につけることは可能といえます。
将来のために、今この瞬間からお金の知識を身につけていきましょう。
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また、金融リテラシーが高い人は、資本家の考え方ができるようになります。
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