民間の医療保険に入る必要はない!?標準医療を10万円で受けられる仕組みを解説
社会保障制度改革では、私たちが享受している豊かな長寿社会とそれを可能にした社会保障制度をどう将来世代に伝えていくか、将来のため何が大切かを最重視すべきです。
持続可能性を高めるには、社会保障制度改革に加え、その担い手を増やすことが重要。
元社会保障制度改革国民会議会長 清家篤
清家篤さんは、経済学者でありながら社会保障制度の研究者でもあります。社会保障制度は相互扶助の考え方に基づいたすばらしい制度ですし、将来も続けさせていきたい制度ですね。
民間の医療保険に入る必要はない!?
結論から先にお伝えすると、国の社会保障制度を利用すれば、民間の医療保険に入る必要はありません。
なぜなら、標準医療であれば、10万円で受けることができるようになっているからです。
標準医療を10万円で受けられる仕組み
「なぜ標準医療を10万円で受けられるのか」を理解するには、国の社会保障制度を紐解く必要がありますね。
国民皆保険制度の概要
日本では、国民皆保険制度という公的医療保険制度を採用しています。
詳しいことはこちらの記事をご覧ください。
一言でいうと、国民のみなさんが保険を受けられる制度になっている、ということです。
高額療養費制度に注目!
公的な医療保険の中でも、高額療養費制度というのがあります。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
70歳未満の一般的な所得の人は、暦月ごとの医療費の自己負担額のうち「80,100円+(10割相当医療費-26万7,000円)×1%」以上かかった分については、払い戻されることになります。
例えば、あなたが胃の手術をして、医療費が100万円かかったとします。
国民皆保険制度により、医療費の自己負担は3割(※年齢によっては2割か1割)なので、30万円を負担することになります。
一方、高額療養費制度により、「80,100円+(100万円-26万7,000円)×1%=87,430円」以上かかった分については、払い戻されることになります。
つまり、「30万円-87,430円=21万2,570円」が払い戻されるため、実質87,430円を支払えば100万円分の医療を受けることができるのです。
先進医療や自由診療を受けたい人は民間の医療保険をおすすめ
ただし、先進医療や自由診療は高額療養費制度の対象ではありません。
近年は医療が発達してきており、簡単かつ高い確率で治すことのできる手術や新薬が開発されてきています。
しかし、そのほとんどが先進医療や自由診療とされており、標準医療には含まれておりません。
「病気になったときのことがとても心配」という方にとっては、先進医療や自由診療に対して保険金がでる民間の医療保険をおすすめいたします。
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